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G.17.2.7 非線形ケーブル/トラス解析

注記: この機能は、限られた形で使用可能です。

ケーブルと予荷重メンバーまたはそれらのいずれかを除くすべてのメンバー、要素、およびサポートスプリングが線形である場合、この解析タイプが使用されます。この解析は、何ステップかに分けて荷重を作用させ、各ステップは収束する平衡反復であることに基づいています。ステップサイズは、初め小さく、次第に大きくなります(デフォルトでは15~20ステップ)。各ステップでは、次のステップに進む前に、変形の変化が小さくなるまで反復は継続されます。収束しない場合、解析はストップします。ユーザーは、さらなるステップを選択するか、構造物を修正して、再実行することが可能です。     

構造物が初めから(線形、微小変位、静的理論の意味で)不安定なケースでは、初めの少数回の荷重ステップで、構造物を人為的に安定化することが可能です。

ユーザーは、ステップ数、ステップあたりの最大反復回数、収束判定規準、人為的な安定化剛性、およびケーブルサグの後に残る最小剛性をコントロールします。

この方法では、ケーブルと予荷重を受けるトラス以外のすべてのメンバー/トラス/エレメントに対して微小変位理論を仮定しています。ケーブルと予荷重を受けるトラスは、大きな変位と中程度または大きなひずみを生じる可能性があります。ケーブルと予荷重を受けるトラスは、引張と圧縮を伝達しますが、ケーブルは、ぴんと張っていないならばその係数Eは小さくなります。プレテンションは、ケーブル/トラスを無応力状態の長さから2つの端部ジョイント間に合うように伸ばすのに必要な力です。代わりに、ケーブルに対して無応力長を入力できます。    

現在の非線形ケーブル解析手順では、最終的なケーブルの結果は圧縮力となり得ます。その手順は、すべての荷重条件に対してすべてのケーブルで十分な引張をもたらす構造物、荷重、およびプレ引張荷重用に作成されました。初期の組み込みでは、圧縮の可能性は受け入れられると見なされました。それは、緩んだケーブルのギャロッピング、シンギング、パウンディングのような望まない動的効果を避けるためにケーブルを引張状態におくことがほとんどのコードで強く勧められているからです。エンジニアは、すべてのケーブルの結果が確実に引張となるように初期予引張を設定する必要があります。さらに、本手順は一般的な非線形アルゴリズムよりも信頼性があり、効率的です。圧縮を最小化するために、SAGMIN入力変数を0.01のような小さな値に設定することが可能ですが、より多くのステップが設定されておらず、より大きな平衡反復制限が設定されない場合、そのことにより収束しなくなる可能性があります。一般的にSAGMINの値を0.70より小さくすると、収束のために他の入力パラメータのいくつかを調整する必要があります。      

現在、ケーブルとトラスは、自重によって自動的にロードされませんが、ユーザーは、すべての荷重ケースで自重を作用させているかを確認すべきです。風のみといった成分荷重のケースを入力しないでください。すべてのケースは現実的である必要があります。ケーブルとトラスに対して、メンバー荷重は端部に集中します。温度荷重もケーブルとトラスに作用します。ケーブル/トラスをいくつかのメンバーに分解し、中間のジョイントに力を作用させることができます。Yが垂直軸として仮定され、また要求されます。 

ケーブルに対して表示されるメンバー力はFxであり、弦に沿って端部ジョイントの変位後の位置の間に表示されます。

解析の順序は次に示すとおりです。
  1. 非線形メンバーの無応力長を、ジョイント座標、プレ引張、および温度に基づいて計算します。
  2. メンバー/要素/ケーブルの剛性が形成されます。ケーブル剛性はEA/Lとサグの式、および現在の引張に基づく幾何剛性から得られます。
  3. 全体剛性マトリックスを作成し、全作用荷重のうち本荷重ステップに使用される分に対して解析します。
  4. 非線形ケーブルの力の方向の変化に対応して平衡反復を実行します。その結果、構造物は変形後の位置で静的平衡状態になっています。力の変化が大き過ぎる場合、または反復15回以内で収束規準を満足しない場合、解析を停止します。  
  5. ステップ2に進み、作用荷重の割合を大きくして繰り返してください。非線形メンバーは、新しい引張とサグの効果により、その向きが更新されます。 
  6. 100%の作用荷重に対して収束した後、メンバー力、反力、および静的チェックの計算に進みます。静的に等価なジョイント作用荷重の変位であることから、静的チェックは厳密には平衡状態でないことに注意してください。 

非線形ケーブル解析の荷重ケースは、CHANGEコマンドとPERFORM CABLE ANALYSISコマンドによって分離される必要があります。主荷重ケースの総数を設定するには、SET NLコマンドを使用する必要があります。マルチリニアスプリング、圧縮のみ、PDelta、NONLINEAR、または動的なケースを使用することはできません。 

ケーブルと予荷重トラスに対しても、
  1. メンバーオフセットを使用しないでください。
  2. CONTROL/DEPENDENTコマンド内に、端部ジョイントを含めないでください。
  3. 傾斜サポートジョイントに接合しないでください。
  4. Y方向が上である必要があります。
  5. 強制変位を使用しないでください。
  6. モデル内でサポートスプリングを使用しないでください。
  7. 作用荷重の全体座標系における方向は、変位によって変化しません。
  8. プレ応力荷重、固定端荷重を作用させないでください。
  9. ケーブル解析の結果を組み合わせるために、LOAD COMBINATIONコマンドを使用しないでください。その代わりにREPEAT LOADコマンドで主荷重ケースを使用してください。